Column
お役立ちコラム
運動療法が介入できる腰痛とできない腰痛
日本人の約1/4が悩まされていて、まさに国民病とも言える腰痛。
腰痛はどこからくるのでしょう?
また、運動療法で改善される部分はどこまでで、どこからが運動療法が介入できない部分でしょう。
1. 腰痛はどこからくるか?
まずは腰痛はどこからくるのか。
※内臓痛など臓器からの痛みは除きます。
①Red Flags腰痛:感染、がん移転
②神経症状あり腰痛:ヘルニア、狭窄症など
③腰の痛みのみ:椎間板症MODIC
①②は特異的腰痛と呼ばれ、これらは医師の診察、病院での治療が必要です。
③は非特異的腰痛と呼ばれ、ピラティスなどの運動療法が第一選択となります。
2. 運動療法では介入できない腰痛
運動療法での介入ではなく、医師の診察や病院での治療が必要となる基準が、熱を持っているか、下肢のしびれの有無、です。
熱を持っている場合は、はじめにピラティススタジオを訪れることは考えにくいですが、ご自身で病院へ行くかどうかの基準として知っておいていただければと思います。
先ほど述べた①Red Flags腰痛は、悪性腫瘍脊椎移転、脊髄腫瘍、可能性脊椎炎などで、緊急処置が必要です。歩行困難なことも多く、重症です。
これ以外にも、Red Flagsになりうる情報は、問診により判断していきます。
②の神経症状あり腰痛は、下肢のしびれがある場合です。
これらは腰椎椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症(すべり症併発、側弯併発を含む)です。
基本は整形外科医の受診が必要です。
ピラティスをするのであれば、整形外科医と連携しながら行なうのがベターとされます。
足に症状が出ている=神経がつぶれていて、無理をすると悪化させます。
間違った運動をすると麻痺が生じるリスクがあるため、病院と連携しながらピラティスセッションを受けるのがよいです。
3. ピラティスが介入できる範囲
腰部脊柱管狭窄症も病院の受診が必要ですが、狭窄症はピラティスとの相性がよいです。
よって整形外科と連携しながら、ピラティスセッションで改善するのがとても有効です。
狭窄症の症状は、立っている状態であればしびれが生じるが、座っていたり、自転車をこいでいても大丈夫というものがあります。
しびれがない状態でピラティスをしていくと、狭窄症の症状は改善されます。
必要なのは、胸椎の柔軟性と、腰部の安定化です。
早期の状態であれば、ピラティスで腰の前弯を取り、胸椎の柔軟性を出していくことが可能です。
4. ピラティスで改善できる腰痛
腰は痛いがそれ以外の症状はない、でもなぜ痛いかわからない。
これらはなぞの腰痛とも呼ばれます。
ですが痛みの原因はあるので、そこを安定させるためのピラティスを行なうことが有効です。
体幹リハビリの基本概念で、腰痛といえば腹筋、背筋。という時代は終わりです。
現在はJoint by Joint Theory という、Mobility Joinである胸郭、股関節を柔軟にし(Mobility first)、Stability Join である腰部とコアで硬める(Stability next)という考え方が主流です。
腰椎と頸椎は安定させて、胸椎での回旋獲得が最も重要です。解剖学的にも腰椎は回旋するようにはできていないので、コアを安定させることが重要です。
これらは上肢と下肢のアイソレーション、個々で動かすことで獲得することができます。
ではどのようにして個々で動かすことができるようになるのか?
ピラティスの出番です!
ピラティスでは腰椎を動かさず、胸椎と股関節をアイソレーションで動かし、柔軟化していくことができるエクササイズです。
実際に、腰を痛められたアスリートや、高齢者のリハビリ治療で、ピラティスが取り入れられています。
高齢者の手術後にピラティスを病院で取り入れ、退院後はピラティススタジオに通うという方も多くいらっしゃいます。
5. 真の腰痛を治すということ
病院での治療で、腰痛が治るというのはもちろん大切です。
ですが今後も予防していくためには、腰痛になった原因を直すことが必要です。
原因を直してこそ、100%以上の状態で日常生活に復帰できることを意味します。
これは「腰痛とは?痛みの場所が原因とは限らない」で詳しく述べています。
6. まとめ
病院での治療が必要な範囲と、ピラティスなど運動療法が介入できるところを、しっかりと見極めるのは医師や我々インストラクターの役目です。
病院での治療だけでなく、運動によって改善される場合も多々あります。
腰が痛い=病院。ではなく、そこにピラティスという選択肢を取り入れて、腰痛にならない体作り、自分史上最高に不調がない状態を作っていくお手伝いができればと思います。